2025年12月1日(月) 晴れ -more than words-

12月になって最初の日は、空気が凛として気持ちが良かった。さっき買ったコーヒーの香りに混ざって群青色の空気が肺に落ちていく。

朝の2人のルーティン。いつものように彼女が笑顔でこちらに駆け寄ってきてハグとキスをしてくれた。だけど、僕はなんだか、昨日会っていたとは思えないくらい遠い気持ちになっていた。

いつも以上に色々な気持ちが混ざっていて、うまく彼女の話にも返せなかった。そんな僕の気持ちを察してか、彼女も少し不安そうな顔をする。ぎこちない2人のまま、朝の時間はあっという間に終わってしまった。


お昼頃、彼女からメッセージがきた。

「なんか、気持ちが”ざらざら”する」

僕も全く同じ気持ちでいた。少し前までよく感じていた、未来への不安とか一緒にいられなくなることに対する恐怖からくる”ざわざわ”した感じとは違った。

もっと、即物的な何かだった。

そんな時、僕らは過去の経験上、お互い一緒にいた方が良いことを知っていた。だから、本当は会う予定はなかったのだけれど、早々に仕事を切り上げて彼女と2人でいることにした。

「なんか、ざらざらするね。どうしてかな」

彼女がそう言うと、僕は溢れ出すように今のざらざらとした乱雑な感情をこぼした。僕は、彼女に怒っていたのだ。

  • 彼女が結婚をしたこと。
  • 彼女が理由をつけて旦那と居続けていること。
  • 彼女が旦那との結婚生活におけるライフイベントに突っ込んでいっていること。
  • 彼女が「(僕の名前)さんなら許してくれそう」と言って、いつも冷静に受け止めるには辛すぎるようなことを僕に伝えてくること。

そんな彼女の色々の全部に怒ってしまっていたのだ。普段は顔を出さないように封じ込めている、ずっと我慢している感情をひとしきり彼女に伝えた後、「こんなのは当てつけで、もっと苦しんでいるのは彼女の方だ」と、冷静になった。

でも、この怒りはなくしたくないと思った。だって、この怒りがなくなってしまったら、それは彼女への気持ちが薄れてしまうことと同義だから。

彼女が僕の気持ちを聞いて、何を思ったか、全部はわからなかった。だけど、僕のざらついたこの感情を受け止めてくれていることはわかった。彼女は泣いていた。

「ごめんね・・・」

僕と彼女、同じ言葉を漏らしていた。でも、結局、2人とも気持ちは同じだった。

今の現実がどうであれ、絶対に2人で一緒にいたい、その気持ちだけは揺らいでいなかった。


その後は、2人でいつも通り夜を過ごした。もう、さっきまでの”ざらざら”はなくなっていた。

境界線は、まだ僕らの間にあるけれど、この日、少しだけ境界線が薄くなったような気がした。

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